Happy Growth Magazine
10月 02

空のデータサイエンティストは、「PriceTech」にどのようにアプローチしているのか

こんにちは!株式会社空でデータサイエンティストをしている馬場です。
今日は、空がどんな市場の課題感にどのように取り組んでいるのかをデータサイエンティスト視点でお伝えしたいと思います。

その前に、まずは私の簡単な自己紹介から。私は大学院博士課程で産業組織論やゲーム理論、マーケットデザインを研究していました。その後EC系企業にてオークション、AIスタートアップでファッション画像などのデータを扱い、2016年に空に入社しました。現在は、価格最適化アルゴリズムの開発やデータ集計など、データ分析に関わること全般を担当しています。

空が取り組んでいる課題

空は「PriceTech」という領域で挑戦をしています。これは私たちが作った造語で、テクノロジーを活用して価格設定を最適化するための取り組みです。空のサービス「MagicPrice」は、簡単な操作でホテルの料金設定を可能にするレベニューマネジメントサービスです。

ホテルは、季節、日付や曜日、周辺でのイベント、周辺ホテルとの競合性、など様々な要因をもとに価格が決められます。担当者が手作業で調整していることがほとんどで、設定する価格感はその人のこれまでの経験値がもとになっているのが現状です。

「予約が入らない客室を、どのタイミングで値下げすべきか」
「近くに新しいホテルができたことで自分のホテルにはどれほどの影響があるのか。それによって価格をどのように設定すべきか」
「近くの会場でイベントが予定されているが、どのくらいの集客が見込めるのか」

空では、こういった悩みに対して、ホテルの予約台帳データと、イベントや予約サイトなどの外部データを組み合わせてホテルの需要予測を行い、売上の最適化を図っています。

これはホテル側、宿泊者側の両者にとって意義があると考えています。

まずホテルにとっての意義とは、経験ベースではなくデータ(ファクト)をベースにした価格設定になるため、機会損失をすることなく売上向上が見込めることです。

宿泊者の視点に立つと、金額が通常より下がった場合には、これまで高くて手が出せなかったホテルにも宿泊できるようになります。逆に宿泊費が上がった場合、もちろん「泊まりたかったホテルが予算を上回り選択肢から外れてしまった」ということも起きるとは思いますが、「お金を出してでも泊まりたい」と思える人にはチャンスが回ってきやすくなります。つまり、本当に欲している人に客室が行き届きやすくなるのです。

課題に対するアプローチ

このような、ホテル業界における明確な課題感や社会的意義があるにも関わらず、世界的にもまだ取り組んでいる会社が少ないのが現状です。この課題に対して、空のデータサイエンティストとしてどのような取り組みを行っているのか。

まず、使っている技術はオーソドックスな機械学習、強化学習、計量経済学、動的計画法(ダイナミックプログラミング)が中心です。

ただし、アルゴリズムに任せてしまうと値下げ合戦が始まってしまい、「価格の最適化」ではなくなってしまう恐れがあります。そのため、ゲーム理論を使い、競合ホテルの価格設定を把握した上で最適化するやり方にも挑戦しています。競合をホテルだけにするのか、など、競合の扱い方はもう少し掘り下げられるとは思っています。

多くの機械学習の課題ではどれくらい正確に分類ができているかaccuracyなどの基準で測定することができるのに対し、売上が改善されているのか?価格が最適に向かってきているのか?は測定しづらく、そこに因果推論/政策評価の手法を導入してMP導入の効果を検証していくことにも挑戦しています。

また、データサイエンティストは研究のために論文を読んだり調べ物をすることも少なくないですが、一定期間アウトプットが出ないことに対して、空の経営陣は理解をしてくれているように思います。

例えば最近は、価格を最適化した結果がどう解釈できるのかという研究に時間を充てています。ホテル担当者の方がつけた価格に対して、どんな意思決定プロセスを通じて得られた結果なのか?や、その方がつけそうな価格を予測して、最適化した価格との違いを紐解くための取り組みをしています。こうすることで、ホテルの担当者の方とも対話をして納得感を持ってもらうことができるのです。

一方で、一般的には企業のR&D部門は企業価値を上げるための中長期スパンでの取り組みであることが多いと思いますが、空では自分たちが研究開発した内容が即時でプロダクトに実装されるのが特徴です。データサイエンスチームの研究結果がプロダクトのコア価値として実装されるので、価値提供ができている実感を持ちやすいです。

チームについて

データサイエンティストのチームは4人で構成されています。それぞれの得意分野は次の通り。

ばばちゃん(私です):経済学(特にオークション)、画像
えまちゃん:生物
かんちゃん:物理、位置情報
まっしー:経済学
その他には、ゆきやんという基盤エンジニアも在籍しています。

今のメンバーの得意分野は幅が広いので、それぞれの特性を活かしながら仕事を進めています。新しく入る方にも、その人の得意分野やこれまでの経験、今後挑戦したいことをすりあわせて、最適なポジションをご提案しています。

チームで共通の課題に取り組んでいても、各自の強みに合わせてそれぞれの視点からアプローチができたらいいと思います。お互いの「違い」に興味も持ち合って、自分の中の定石みたいなものを崩しながら別のやり方を検証していけるようなチームが理想です。

私たちの取り組みやチームに興味を持ってくださったデータサイエンティストの方は、ぜひ一度お話できたら嬉しいです!

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