Happy Growth Magazine
9月 02

PriceTechスタートアップの空がなぜデザインスプリントに取り組んだのか?

株式会社空でエンジニアを担当している布川です。

ホテルの料金設定業務を支援する「MagicPrice」を作っています。
たかが料金設定と思われる方もいるかもしれませんが、ホテル運営にとっては重要な業務の一つです。

料金設定にはレベニューマネジメントという考え方があります。
レベニューマネジメントを一言で説明すると「需要を予測し、収益を最大化するために適切な販売管理を行うこと」です。

ホテルは毎日決まった部屋数を販売しており、在庫の繰越ができません。
需要による供給量の調整ができないなかで収益を高めていくには、レベニューマネジメントが重要になります。

これは空が実施しているセミナーで必ず聴く質問です。答えわかりますか?
(図の下に答えが書いてあるのでゆっくりスクロールしてご覧ください)

わかるかな?

答えは…

「1,000万円」です!

もし1,000万円売上が変わるならば、一体何ができると思いますか?
施設のリノベーション、人材採用、アメニティ強化、社員ボーナス還元など、様々なことができそうですよね。
このように小さな変化が大きな影響を及ぼすのが、レベニューマネジメントの仕事です。

詳しく知りたい人はこちらもぜひご参照ください。

https://academy.magicprice.co/revenue-managemen

目次

  • 料金設定業務に型を作る
  • デザインスプリントとは?
  • どんなときにデザインスプリントを実施すればよい?

料金設定業務に型を作る

しかし、この料金設定業務には決まった型がないため、施設がそれぞれ独自の手法や特定のスタッフのやり方に依存するということが起きています。
それ自体が方法として正しいかどうかというよりも、迷ったときにその都度情報を集めて意思決定をしたり、担当者が異動になったときに引き継ぎが大変だったり、不確実な事象への対応コストや潜在的なリスクは避けられません。

MagicPrice は業務の標準化と脱属人化を進めて、より良い料金設定業務を行えることを目指しています。
導入時にまず行うのが5つの基本ステップをベースにした既存業務の棚卸しです。

すべて S で説明できたのすごくないですか?

このように、「業務の型をいかに作り上げていくか?」は私達にとっても重要な問いです。

最近は、その答えの解像度をもう1レベル上げていくためにサービスコンセプトのアップデートに取り組んでいますが、新しい概念やコンセプトについて組織や顧客に伝えるのは至難の業です。
それに際して、プロダクトも進化する必要があり、プロトタイプは共通言語になりえます。
まずは作ってみて、作りながら考える。

今回、その一つのアプローチとして選んだのが「デザインスプリント」という手法です。

デザインスプリントとは?

デザインスプリントは、行動科学やデザイン思考などの考え方を体現したプロセスで、月曜日から金曜日のたった5日間で、検証すべきビジネスの問題(例えば、どのようなアプローチで新規事業を始めるべきか、新規顧客の離脱を防止したいなど)に対してデザインの観点から答えを導くプロセスだ。

【デザインスプリント入門】話題の高速サービス開発法とは / btrax より

空のような小さい組織でデザインスプリントを実施することはリソース的にインパクトも大きいですが、限られた時間の中で最速でアウトプットするには最適な手段だと思います。

初めての取り組みということもあり、各々の予定もあったので、少し変則的に1日ずつ間を開けて5日間を確保しました。

休憩のたびにスイカグミの美味しさを語ってた弊社デザイナー

5日間で実施する内容です。

  • DAY 0 Preparation(調査して準備する)
  • DAY 1 Mapping(自分たちの成し遂げたいことをマップアウトしながら、今回取り組むべき課題を共有する)
  • DAY 2 Sketching & Deciding(解決策を書き出し、決定する)
  • DAY 3 Storyboarding & Prototyping(ストーリーボードを使ってプロトタイプをプランする)
  • DAY 4 Prototyping(プロトタイプをつくる)
  • DAY 5 Test(ユーザーテストをして学ぶ)

実施してみてわかったのは、ものすごく疲れるということです (笑)

例えば、オフサイトミーティングや合宿って1日みっちりやるじゃないですか?
1日のアジェンダが分単位で決まっていて、アウトプットにこだわるので1分たりとも気が抜けないですよね。
あれが5日間続くわけです。

背骨が曲がってるのか、疲れの現れなのか

デザインスプリントは、心身共に健康な状態でのぞみましょう!

さて今回の一番の効果としては、抽象度や不確実性が高いテーマに対して、部署や役割を横断して議論ができるようになったことです。

空は毎週金曜日にクロスセッションと言うチームを横断した全社での共有やディスカッションなどに使われる時間があります。
そこでプロトタイプを実際に触ってもらい、2人1組になって議論してもらったところ、多くの改善ポイントを得ることができました。
大きな変更に対して拒絶反応もなく、コンセプトの解像度を上げるために各々が理解を進めていることが伝わる時間にもなりました。

Slack でも議論内容をフィードバックしてもらった

このように成果物としてのプロトタイプがあることで、誰もがレビュアーになり、さらなる改善のための学びを得る機会が増えます。

参加することでより組織でプロダクトを作っているということを実感できることも大きいです。
CS やセールスのメンバーも日々プロダクトを良くしようとフィードバックを届けてくれますが、そこから製造プロセスに入るとブラックボックス化して、なかなか一緒に作っている実感が得にくかったりします。

多様なメンバーの予定を調整するだけでも一苦労ですが、もしデザインスプリントに取り組む機会があれば、ぜひ自信を持って巻き込むべきです。

どんなときにデザインスプリントを実施すればよい?

私達の場合は、上記で語ったとおりレベニューマネジメントという型が定まっていない業務の標準化を推し進めるためにユーザーフローの再編や本当に必要な機能を整理するのがテーマでした。

他にはどんなときに有効なのか?

Google が公開しているデザインスプリントのサイトに以下のような記述があります。

・Redesign a user flow to increase conversion

・Explore new models for discovering products in your e-commerce app

・Improve the process for approving new projects

・Define the vision for a new product offering

Share and engage with the Design Sprint Community / Google より

1番上は私達のケースに近そうです。
他にも、ビジョンの定義やプロセス改善など、プロダクトとは間接的なテーマにも適用可能です。

どのようなテーマでデザインスプリントに取り組んでいますか?
この記事をお読みいただいてる皆さんの経験もぜひお聞きしてみたいです!

空は毎月 Friends Day と称した広くゲストをお呼びしての公開イベントや SORA BAR という小規模イベントなど、幅広く開催しています。
もしご興味持たれた方はぜひ一度遊びに来てください。

https://www.facebook.com/pg/sora.flights/events/?ref=page_internal

また採用も全方位強化中です!
カジュアルに話を聞いてみるだけでも歓迎なので、こちらもよろしくお願いします。

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